ぴか★すき

…きっと大目くんは、何も気付いてない。

絶対、今の私の言葉が、ただのセリフだと思ってる。


…でも……

気のせいかな?

勇気を出して大目くんの方へ向けた私の顔に、
大目くんの顔がだんだんと近付いているのは。

気のせいかな?

近付いてくる大目くんの唇も、私と同じように震えているのは。


…気のせいでもいいから、
どうか、
ぎゅっと閉じた目を開いたとき、
大目くんが困った顔をしていませんように。







——…「んっ…」


たぶん、なかなか唇が離れなかったのは、
ただ私が、時間が止まったように感じてしまっただけ。

漏れた声は、きっと私はびっくりして出してしまっただけ。

離れたあとの唇が麻痺したようにびりびりと震えているのも、

たぶん…私だけ。




——…そう思わないと、期待してしまう。

ほんのりと赤く染まった大目くんの頬から目を離さないと、期待してしまう。

「すき」の言葉を、
凪月ではない、

大目くんに、言ってしまいそう。

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