ぴか★すき

呼吸を無意識のうちに整えながら、僕は携帯を耳に当て直す。




「…片山さん?」

『……はい』



片山さんの声は僕の耳の中でどんどんとにじんでゆく。

片山さんの顔はさっきよりはっきりと見えてきて
片山さんが服の裾を強く握っていることに気がついた。



「聞きたいことが、あるんだけど」

『…なに?』



あ〜、もう。

いつも片山さんのことばっかり考えちゃうのに、
その度「片山さん」って呼ぶの面倒なんだよね。

だから、
だからさ。



「梨柚って呼んでも、い?」



お願い、
俺を
拒まないで。



< 151 / 180 >

この作品をシェア

pagetop