ぴか★すき
伏せていた目を前に向けると、
そこには大目くんの親指と、
あの笑顔があった。




「俺、頑張るから」



遠くでチャイムが聞こえる。

思わずチャイムに、
「うるさい!」と怒鳴りたくなる。

この、消えてしまいそうな大目くんの声を聞きたい。

全部、全部 聞いて、私の中に真空パックして残しておきたい。


そう思うほど、
大目くんの声は細く、
透き通って、

私の心を貫いた。



「初めて、俺の目見ながら話してくれて、
ありがとね」


そう言うと大目くんは、
私の頭をぽんぽんと優しくなでた。




——授業は始まっているのに、
私たちは全然あせっていなくて。

いつものようにうるさい心臓は、
この時は心地よい子守唄のように聞こえた。






いつもより優しい顔の大目くんは——

———私の中のなにかを変えた。
< 59 / 180 >

この作品をシェア

pagetop