ぴか★すき
ガチャッ!


僕が勢いよくドアを開くと、編集室は一瞬静まり返り、
そしてすぐにざわめきだした。


すぐ僕に近寄ってきたのは、
佐々木さん。



「どどどどっ、どうしたの灯耶くん!」

「片…梨陽先生は?
…いらっしゃいますか?」

「あ〜…」


佐々木さんが言いよどんでいる間に、僕は見つけてしまった。

片山さんが真っ黒な髪をなびかせて、社長室のドアの裏に消える、
あのうしろ姿を。



「失礼します」

そう言うと僕は、佐々木さんの横をすりぬけ、
まっすぐ社長室へ向かった。



社長室のドアを開くと、どうやら社長さんは外出中らしく。

社長室にいたのは、
机の下に隠れた(つもりらしい)片山さんだけだった。




「あれー、
梨陽先生どこ行ったんだろ?」


わざとらしい声を出して、片山さんの前に座る。

片山さんは体操座りのまま、
僕と目を合わせようとしない。



「…なんで?」


できるだけ優しい声を出して、聞いてみる。


「……なにが?」

「なんで避けんの?」


すると片山さんは、さらに顔をふせ、僕から完全に顔が見えない姿勢になった。
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