ぴか★すき

「…じゃあ、さ」


——…だめだよ、俺は。
俺は、芸能人なんだ。

取り乱したり、顔を赤くしたり、緊張しているのを、さらけ出したらだめなんだ。


必死に、気付かれないように、呼吸を整える。
吐く息に、
「聞き間違い」とわかった瞬間の切ない気持ちをのせて、
いっしょに吐き出す。


「前の片山さんに、会いに行こうよ」

「…はい?」


見るからに、「意味がわかりません」という顔をする片山さん。

——俺だってわかりませんよ、
なんで今こんなにも切ないのか。


「いいからさ、来てよ」


無理やり片山さんの腕をつかみ、部屋から連れ出そうとする僕の腕を、片山さんはふいに握った。

「ま、待って!」


びっくりして振り返った僕と目が合うと、
片山さんは今更になって僕の腕を握ったことに気付いたようで、
恥ずかしそうに力を緩めた。


「あ…あの…
変装しなくて……いいの?」
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