ぴか★すき
僕がほぼ無意識でそう言うと、片山さんはぎょっとしたような顔をした。




「…な、にを?」

「なりきり」

「なりきり?」




片山さんは、きょとんとした顔をする。

そこで僕は、さっき「かわいい」と思わされたお返しに、
役者魂を見せてやろう、と思った。

こっちだってどきっとさせられたんだ。

…どきっとさせたいじゃないか。






「すきだよ」

「…どぇっ!?」




片山さんは、あきらかにびっくりした声を出し、みるみるうちに顔を赤くしてゆく。
…それで僕は、ちょっと調子に乗ってしまった。





「朱里のことが…どうしようもなく。
ってか、朱里はもう…わかってたと、思うけど。
俺、朱里に…キス、しちゃったもんな」





ドラマのために、練習したセリフ。
まさか、片山さんに言うなんて思ってもみなかったけど。

…でも、それ以上に。

…片山さんにまたどきっとさせられるなんて……

頭の片隅にもなかった。



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