ぴか★すき
その言葉を理解するのに、また3秒ほどかかる。
そして理解した瞬間に、
僕の心の中のなにか、とてもあつくてすぐにでも片山さんにぶつけたいなにかが、
ぷしゅーっと音を立てて抜けていく気がした。
——…演技、か。
そうか、「なりきり」だ。
どうしちゃったんだろ、俺。
なんで本気になった?たかが演技なのに。
なんでそのことを忘れていた?
なんで…
この言葉にならない想いを、
片山さんに伝えよう、なんて、考えたんだよ…?
「…うん、すごく上手かった」
僕と目を合わせようとしない片山さんに、近付いた顔を離しながら言った。
——―…もう唇も、ぴりぴりなんてしない。
…ただ、胸のあたりが。
さっきまであつくてたまらなかった心や心臓が。
熱の行き場を探し、
少し、ちくちくと痛むだけ。