ぴか★すき
私が疑いの眼で佐々木さんを見つめていると、
佐々木さんがくるっと振り向いた。



「逃げてちゃだめだよ」

「え…?」

「梨柚ちゃんが何から逃げてるのかは知らないけどさ。
必死で追いかけてくれてる人がいるんだから。

あと…
あたしの予想では、今から灯耶くん来るね」


「は…はい!?」

「あたしは梨柚ちゃんを隠したりしないからね。
可愛い子には旅をさせよって言うでしょー?」


そう言って佐々木さんは、
にこっと笑った。

…お…
……鬼…!


こうしちゃいられないと気付いた私は、とりあえず立ち上がり、
「どうしよう」とつぶやいた。




———周りの人達には、
私は困った顔をしているように見えたかもしれないけど。

本当は、心の中は泣きそうなくらい嬉しかったんだ。

私のことを心配して、
あんなに慌てた声を出した大目くん。

それなのに喜ばないなんて、できるはず、ない。


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