あの子と私
「……俺はこんなだけど、人に迷惑を掛けるような事はしねぇよ」


相川くんの鋭い視線に言葉が出ない…。

相川くんは言う?

私の万引きの事……。

どんどん気持ちが落ちて行って、涙が出そうになる

すると相川くんは、凄く優しい目をして私に言った。


「俺、よく分かんねぇけど……優等生も大変なんだな」

「……」


相川くんのその言葉に胸がいっぱいになった。

そして相川くんはポケットの中から、タバコを少しだけ覗かせて言う。


「俺さ、タバコ吸ってるんだ。絶対に言うなよ?言ったら、今日見た事言うからな」


相川くんがタバコを吸ってるって言っても、誰も驚かないと思うけど


「もし、ストレスとかあるなら俺に言えよ。遊びに行こうぜ」


相川くんと……?

もし相川くんと遊んでいる所を近所の人に見られたら、変な噂が立ってお母さんに心配を掛けてしまう……。

それに勉強が遅れて成績が下がるかもしれない。

そう思うと早く家に帰らないといけない気がした。

「……私、勉強しないといけないから」

「ああ」

「じゃあ…さよなら」


そう言って帰ろうとする私に相川くんは言った。


「川野!」


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