あの子と私
「貴女も貴女よ!こんな子と仲良くするのはやめなさい!!それからキッチンに立つのもやめてちょうだい!!」


お母さんがこんなに怒るなんて……。

私はシュンとして真雪の方に視線を向けると、真雪は黙ったまま、肩を震わせて涙を溢していた。

そしてそのまま、食卓から出て行く。

真雪ちゃん…せっかく頑張って作ったのに、可哀想……。


お母さんもあんなに言わなくてもいいのに


そして母親は大きく溜息を吐いて言う。


「大声を出したらお腹が空いちゃったわ。出前でも頼みましょう?アリスはカツ丼でいいわね」

「…うん」


母親と二人で夕飯を済ませると母親に言う。


「お母さん、私、勉強があるから部屋に戻るね」

「…そうね。それがいいわね」


私は一度部屋に戻ると、すぐに部屋を出る。

母親に気付かれないようにソッと……。


真雪ちゃんはまだ泣いているかもしれない。

息を潜め、真雪の部屋の前に着くと、ドアを小さくノックした。


「…はい」

「私…。入っていい…?」


少しだけ間が空いて、真雪の元気のない声が聞こえる。


「うん…」


お母さんに気付かれてないよね?

< 102 / 321 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop