あの子と私
私は母親に見られていないかを確認すると、真雪の部屋に入る。


「お腹空いたでしょ?でも何も無くて…」

「ううん…。最近色々あったから、実は余りお腹空いてなかったんだ」


そう言って作り笑いをして見せる真雪の頬には、涙の跡がうっすらと付いている。


「私…家では余り喋れないけど…真雪ちゃんの事嫌いじゃないよ」


こんな事を言えるのは、居候の真雪の方が私より立場が下だからだ。


「…うん。ごめんね。私がお世話になってるばかりに、アリスちゃんに迄嫌な思いをさせて…」

「ううん。私…女の子の友達居ないから、仲良く出来たらいいなって思ってて…」


人は自分より弱い者には優しくなれるんだ。

きっと、真雪がただの同じクラスの女の子だったら、私は絶対にこんな風に言えなかっただろう。

そう思った。



「良かった…」


真雪はそう言って笑顔を見せた。


「家では色々あるけど、学校では仲良くしてね」

「こちらこそ」

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」


私は又母親の視線が無い事を確認して、ソッと部屋を出た。

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