あの子と私
するとヨシは少し遠い目をして言った。


「名前も教えてくれなかったんだよねー。あんな奇麗な子にはもう二度と会えないわ」

「……」


そのヨシの言葉に少しホッとしながらも、少し悲しくなる。

ヨシが言う白百合さんって、どんな女の子なんだろう?

真雪ちゃんより奇麗な子なのかな?

本当に二度と会えなければいいのに。


「それより転校生っていつから来るんだろうね?同じ学年かな?」


真雪ちゃんの年や学校に来る日、聞いてなかった。


「同じ学年っぽいけど、いつ来るかは分かんねぇっぽい」

「ふ~ん」


帰ったら真雪ちゃんに聞いてみよう。

そう思った時、ふと思う。

白百合さんが真雪ちゃん……?

ううん。
そんな偶然ある訳がない。

せっかくホッとしたのに又落ち着かなくなる。

もし、真雪ちゃんが白百合さんじゃなかったとしても、あんなに綺麗なんだ。

ヨシが好きになってしまうかもしれない。

帰ったらすぐに聞いてみよう。

いつから来るのか……。



授業に集中出来ないまま学校が終わり、ヨシとトモの誘いも断り、私は急いで家へと帰る。

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