あの子と私
ボンヤリとヨシの方を見ていると、担任は黒板に大きな字で真雪の名前を書いて言った。


「今日から同じクラスの福原真雪さん。仲良くしろよー。…福原さん、挨拶して」


真雪は担任の言葉に恥ずかしそうな顔ではにかむと、緊張しているような空気を出しながら言う。


「福原真雪です。宜しくお願いします」


するとすぐに男の子たちが大きな拍手をして、盛り上がる。

男の子達と反対に女の子達は、複雑そうな顔をしていたり、嫉妬に満ちた顔をしていた。

ヨシは無表情で下を向いていて、その仕草が又私を不安にさせる。

そして担任は教室を見回して言った。


「休みはゼロか。福原は一番後ろの窓際の席な。HR終わり」


担任はそう言って教室を出て行き、私は真雪の席を眺める。

あんな所に新しい席があったんだ?


気付かなかった……。

真雪はその席に行くと荷物を置き、私の所に駆け寄って来て、笑顔で言う。


「良かったー。アリスちゃんがいて。一人じゃやっぱり心細いから」


私は真雪の言葉を聞き流しながら周りを見ると、クラスの子達や真雪を見に来た他のクラスの子達が、こっちを不思議そうな顔で見ていた。

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