あの子と私
だって…今迄こんな事なかった。


「まぁ、その内こっちに来るよ。気にすんな」


トモは笑ってそう言うけど、私は笑えない。


ヨシが真雪に取られてしまうかもしれないんだ……。

授業と授業の間は真雪とトモしか来なくて、昼休憩になってトモが来て私に言った。


「アリス、今日は二人で食べるよ」

「あ…うん」


やっぱりお昼も別なんだ……。

今日はって言ったけど今日だけなのかな?


「ねぇ、アリスちゃん…」

「……」

「アリスちゃん…?」

「あっ、ごめ…。何…?」


真雪はどうでいいような話を続け、私はそれに適当に返事を返す。

そして学校が終わると、真雪と一緒に家に向かう。

帰る時も真雪は楽しそうに話し掛けて来た。

私は又上の空で話を聞く。

そして

”きっと真雪が居なかったら、今日も三人で一緒に居られたのに”

と言う思いは消えない。

トモが言ってた『本気の女には奥手なんだよ』の言葉を、頭の中で必死に掻き消す。

私と真雪は殆ど話をしないまま家に着いた。


「ただいま」

「お帰りなさい」

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