あの子と私
母親は真雪を視界にいれないようにして、私に話しかける。


「もうすぐ期末テストだから、ちゃんと勉強するのよ?」

「…うん」


そして真雪を見ると、真雪は少し頭を下げ部屋の中に向かう。


「本当に可愛くない子ね」

「……」


そして私も部屋に向かうと勉強を始めた。

問題集を解きながら、今日のヨシを思い出す。

今日のヨシ、全然こっちを見ようとしなかった。

三人で撮ったプリクラを取り出し、ヨシの顔をソッとなぞる。


大丈夫。

きっと私の勘違いだ。


今日会ったばかりの真雪を好きになる訳がない。


ー翌朝

朝起きるといつものように食卓に向かう。

食卓に着くと母親が朝御飯の用意をしていた。


「おはよ」

「おはよう、アリス。さぁ、ご飯を食べましょう?」


机の上には二人分の朝御飯と、お弁当が一つだけ置いてあって、私は思わず母親に聞く。


「…真雪ちゃんのは?」


私がそう聞くと母親はドアの方に視線を向け、大きな声でキツイ顔をして答えた。


「あの子はいいのよ!お父さんが沢山お金をあげてるから!服だっていっぱい買って貰ってるんだから!そうでしょ?!」

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