あの子と私

三人

ー翌日

朝起きると気分が重い。

昨日の夜は相川くんに見られた事を考えると、殆ど眠れなかった。

学校に行って、みんなが知っていたらどうしよう……。

クラスの子達が私を見てヒソヒソ話す姿が、頭の中に浮かんでくる。

学校に行きたくない……。

でも今日行かなかったら、明日はもっと行きにくくなって、そのまま学校に行けなくなってしまうかもしれない。

そしたら勉強も遅れて私は世間で言う”負け組”になってしまう。

私はいい大学に行く為にも、優等生でいないといけない。

学校に行かなきゃ……。


やっとの思いで布団から起き上がり、いつものように三つ編みを作る。

鏡の中には青ざめた私が映っていた。

大丈夫よ、アリス。

相川くんは言わないって言ってたし、もし相川くんが言ったとしても、不良の相川くんの言葉なんて誰も信じない。

先生だって、きっと優等生の私を信じてくれるに決まってる。

大丈夫。

大丈夫だから……。


食卓で機嫌が良さそうな母親の言葉なんて耳に入らなくて、家を出るとすれ違う人が皆、私を見ている気がした。


世界中の人が皆


私が万引きをした事を知ってるんじゃないかって……。


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