あの子と私
「だよな!…福原さんは?」

「私は…働く」

「働くの?」


三人で一斉に真雪の方を見る。


「うん」

「何で?」

「…私、勉強苦手だから」


真雪がそう言って笑うと、ヨシは真面目な顔をして言う。


「福原さんは偉いな。俺なんか遊べる内は遊びたいから、とりあえず大学にでも行こうって感じだからさ。それにトモやアリスだって、ちゃんと目標があるだろ?あーあ…」


ヨシがそう言って項垂れると、真雪は凄く優しい顔をして、包み込むような空気でヨシに言った。


「たまたまヨシくんは今は目標がないだけで、それでもいいと思うよ。大学に行って何か見付かるかもしれないしね。経験出来る事はしておけばいいんじゃないかな」

「…そうだな」


そして真雪はヨシの暗い空気を吹き飛ばすように、明るく言う。


「まだ私達17だよ。大丈夫。だから落ち込まないで?」


私は肝心な時、いつも気の利いた言葉が言えない。

真雪ちゃんみたいに……。


「ありがとう」

「ヨシが悩むとか似合わねーから」

「何だよー」


みんなが笑顔になった時、時計を見ながらヨシが言った。


「そろそろ帰る?」


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