あの子と私
「そっか。余り遅くなったらダメなんだよね」

「うん…。ごめんね」

「いいよ。又遊ぼうな」

「じゃあ、又明日」


ヨシとトモと別れ、真雪と一緒に家に向かう。

二人で歩いてると、真雪に視線を向ける男の子が沢山いる事に気付く。

真雪はそれを全く気にすることなく、前を向いて歩いていた。


「ねぇ、今から遊びに行かない?」


声がする方を見ると、同じ年くらいの男の子が二人、こっちに笑顔を向けている。


え?これってナンパ?

こんな事、初めてだ。

何か凄く恥ずかしくて思わず下を向いた。


すると真雪は少し黙り、慣れた口調で男の子達に言う。


「今日は早く帰らないといけないからごめんね」

「えー、じゃあ、携帯とか教えてよ」

「携帯、持ってないんだ」

「ハイハイ」


そう言う男の子達に、真雪が天使みたいな笑顔で微笑むと、男の子達はそれ以上何も言わずに去って行った。

何か凄いな。


その後も次から次へと声が掛かり、真雪は挨拶を交わすような感じで、簡単にあしらって歩く。


その姿を見て、私は思わず真雪に言った。


「何か慣れてるね」


真雪は私のその言葉に、少し悲しそうな顔をして言う。


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