あの子と私
電車に揺られ、学校への道のりもいつもより早く感じる。

そして学校が近くなると足取りが重くなった。

笑いながら話している子が、私に視線を向ける。

私の事……?

今すぐ逃げ出したい。

でも

負け組にはなれない。


教室の前にたどり着くと立ち止まり、一呼吸する。

大丈夫。

私は優等生なんだ。

もし相川くんが話しても、誰も信じない。

大きく息を吐きだし、教室のドアに手を掛ける。

そしてゆっくりドアを開けると、視線を落とし、クラスの子達の反応を伺うように視線を上げた。

何か…言われる?


「川野さん」


後ろから声が聞こえて、私は振り返る。

斎藤さんだ

何を…言われる……?

心臓がバクバク鳴った。


「何…?」

「いや、何?じゃなくて、そこどいてくれないかな?さっきから邪魔なんだけど」

「…あっ、ごめんなさ…」


そう言って一歩踏み出すと、斎藤さんは私の身体にぶつかりながら、中に入り席に座る。

……。

私も席に座ろう。

席に座り鞄を置くと、相川くんの席の方に視線を向ける。

まだ来てない。


来たら言われるかもしれない。

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