あの子と私
向かう途中、真雪は溜息を吐いて私に言った。


「アリスちゃん凄いね。私、あんないい点数取った事ない。いつもテストを返して貰った日は、今日みたいな感じなの?」

「そうね。帰ったらすぐお母さんに見せて、お父さんが帰って来たら、お母さんが報告するの」

「ふーん。大変なんだね」


『大変なんだね』って、この家に住む以上これからは真雪ちゃんも同じ立場なのに。


あの点数を見たら、お父さんも今迄みたいに、真雪ちゃんに優しくしないかもしれない。


「真雪ちゃんも頑張ってね」


私がそう言うと、真雪は全く何も気にしていないような顔をして言った。


「私はいいの。勉強は苦手だし、アリスちゃんちにいつまでも甘えていられないし、早く自立しなきゃね!」


そう言っていられるのも、きっと今の内だけなのに。

もし本当にヤバそうだったら、真雪ちゃんに勉強を教えてあげよう。

ここを追い出されたら行く所なんてきっと無いだろうから、可哀想だ。


「じゃあ又後でね」


私はそう言うと部屋に入り、真雪も自分の部屋に行く。

そして制服から部屋着に着替えると、部屋の窓から外を眺めた。

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