あの子と私
お父さんはまだ帰って来ない。

あのテストを見たら、喜んでくれる?

もし真雪ちゃんのテストの点を見て怒ったら、私だけでも庇ってあげよう。

真雪ちゃんは可哀想な子なんだから。


暫くすると父親は帰って来て、母親の声が聞こえた。


「アリスー、お父さん帰って来たから、あの子を連れて来て居間にいらっしぃ」

「はーい」


私は真雪の部屋迄行き、真雪を呼ぶと、二人で居間へと向かう。


ドアを開けるとテーブルの上に置かれたテストはそのままになっていて、父親と母親がソファーに座っていた。


「お父さん、お帰りなさい」


私が言い、真雪も続けて言う。


「お帰りなさい」


父親は私と真雪の顔をお穏やかな表情で見て言った。


「あぁ。テストが返って来たんだな」


父親の言葉に、母親は凄く嬉しそうに甲高く大きな声で言った。


「そうなのよ。やっぱりアリスは私と貴方の子供ね!いつも通り、恥ずかしくない点数を取って来たわ」


私は少し照れ臭くて、父親に顔を向け、少しはにかむ。

お父さんは何て言ったんだろう…?


「…アリス。頑張ってんだな」

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