あの子と私
真雪の足音が遠くなり、玄関のドアが閉まる音を聞くと、今度は左目にコンタクトを入れる。


このままじゃ、きっと遅刻してしまう…。


でもいい。


いままでみたいに『いい子』で居なくてもいいんだ。


左目のコンタクトも、右目のコンタクトと同じくらいの時間を掛けて入れ、今度は制服に袖を通す。


そしてスカートのウエストの部分を折り曲げていき、スカートの丈を短くする。


鏡の中には、今迄と違う私が居た。


似合ってる…?


今迄よりはずっと、クラスの女の子に近付いた気がして、鏡に向かって少しだけ微笑んでみた。


真雪ちゃんには敵わないけど、可愛くなったよね?


早くヨシに見せたい。


『可愛いじゃん』


そう言ってくれるかもしれない。


早く学校に行かなきゃ。


そう思うと自然と足取りは軽くなり、私は急いで玄関に向かう。


私が学校に着くころにはもおう授業は始まっていて、又みんなに見られて何か言われるかもしれない。


でもいいんだ。


ヨシが『可愛いじゃん』って、そう言ってくれるなら……。


ヨシに一番に見せたい。


そう思い、靴を履き玄関を開けた。


先に行ったはずなのに
何で…居るの……?


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