あの子と私
私は下を向き、小さく震える。

女は大きな声で言った。



「お前よー、人にぶつかっといて謝りもしねぇーって、どういう事だよ?!」


怖い……
殴られる……!!


私は怖くて泣きそうになりながら女に言う。


「……ごめんなさい」

「聞こえない!!」

「ごめんなさい」


大きな声でそう言うと、思いきり頭を下げる。

その時、後ろから声が聞こえた。


「アリスちゃん大丈夫!?ごめんなさい。私も謝るから、許してあげて下さい」


声がする方を見ると、真雪が目を潤ませて女を見ている。


何で……真雪ちゃんが謝るの……?

…関係ないのに。

収まっていた真雪に対する怒りが、又沸いてくる。


「…まぁいいよ」


女がそう言って立ち去ろうとした瞬間、私は思わず女の腕を掴んで、すがるように言った。


「良くないです!まだ話は終わっていません。着いて行きます」


真雪ちゃんに『ありがとう。助かった』なんて言うの?

言いたくない…。


女は一瞬戸惑った顔をして、私と真雪の顔を交互に見て言った。


「じゃあ、着いてきな」

「はい!」


呆然とした真雪を残し、私は女の後を着いて行く。


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