あの子と私
正美は少し黙って言った。


「アリスが…本当に辛い時はいつでも来な」

「はい」


正美は優しい顔で微笑み、改札へ向かう。

そして電車に乗り、学校へ向かった。

真雪ちゃんはどうしているだろう?

ヨシと…仲良くしてる?


大丈夫。

正美と一緒に居た時間が、私を強くしてくれた気がした。


学校に着くと4時間目はもう始まっていて、私はドアに手を掛けると少し躊躇う。

大丈夫だよ、アリス。

心の中でそう呟くと、静かにドアを開けた。


ドアを開けた瞬間、クラスの子達の視線が一斉に集まるのが分かる。

私は視線を落とし、自分の席へと向かった。


「川野、遅刻か?」

「……」


先生の問い掛けに答えず、席に座ると教科書を鞄の中から出して、机の上に置く。


「ちょー、眼鏡外してるよ」

「スカートも短くなっちゃってる」


クラスの子達のヒソヒソ話す声が聞こえる。

少しドキドキするけど、気にしない振りをした。

そして顔を上げ、ヨシの方を見る。

心配そうな顔をしているヨシに微笑むと、トモにも視線を向けて微笑んだ。

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