あの子と私
そして真雪の方には視線を向けずに、そのまま視線を落とした。

真雪の視線を感じる。


…何を見てるの?


そう思うと、又苛立ちが強くなった。


勉強に集中出来ないまま、授業が終わりチャイムが鳴ると、ヨシとトモ……真雪が私の周りに集まり、ヨシが言う。


「アリス、福原さんから聞いたけど、大丈夫だった?」

「…大丈夫。いい人だったから」


私はヨシにぎこちなく言う。


ヨシは安心した顔をすると、叱るように言った。


「なら良かった。アリスが来なかったら、探しに行こうって話してたんだ。福原さんなんか、私がちゃんとしてればって泣いてたんだぞ?」


私は真雪をチラッと見る。


泣いてた……?

何で真雪ちゃんが泣くの?


あんな事になったのも、真雪ちゃんが居たからじゃない…!


それに…正美さんは悪い人なんかじゃない!!

沸々と怒りが込み上げて来る。


「アリス…?」


ヨシの声にハッとして、私は慌てて答えた。


「ううん。本当に大丈夫だから」


笑顔を作るけど、顔が引きつる。


ヨシは微妙な空気を掻き消す様に言った。


「アリスの無事も確認出来たし、明日終業式だから、学校が終わって着替えたら、何処かに遊びに行かない?」

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