あの子と私
「賛成」


真雪は元気良くそう答え、私とトモは黙ったまま頷く。


「じゃあ、アリス。あのワンピース着てよ」

「えっ?」


ワンピース……?


「ほら、前に三人で買い物に行った時の」

「うん…」


持ってるって嘘を付いたワンピースの事だ……。


「コンタクトも出来る様になったんだろ?楽しみだな」


真雪がヨシに聞く。


「何?ワンピースって」

「福原さんが転校して来る前にさ、アリスとトモと一緒に服を見に行ってさ、アリスに似合うワンピースがあったんだよね」


どうしよう…。
私はワンピースなんて持ってない……。


「それを買ってあげようと思ったんだけどさ、アリス、それと同じやつ持ってるって言うから買わなかったんだ」


ヨシと真雪の会話をボンヤリ聞きながら考えてた。


明日……?


先にワンピースを着てって言ってくれてたら断れてたのに、今更行けないなんて言えない。


お小遣いだって、あんな高いワンピースを買える程持ってない。


真雪ちゃんは持ってる?


ううん、真雪ちゃんには借りたくない。


お父さん……。

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