あの子と私

嘘……。
怒ってる……?


「…お帰りなさい」

「……」


父親は黙って靴を脱いで部屋に行き、私はその姿を呆然と見送る。


買ってくれないの……?


身体の力が抜けて、頭が真っ白になった


もうダメだ……。

明日なのに

何がいけなかったんだろう……。


だって


分からない。


おねだりなんてした事無かったから、どうすればいいのかなんて分からない。



その時、後ろから声が聞こえた。


「アリスちゃん」


私が振り返ると、真雪が立っていて、笑顔を見せる。


いつからそこに居たの?

ずっと見てたの?

何だかとても不愉快になって、私はその気持ちを隠す事なく返事をする。


「…何?」


真雪は私に手招きをして言う。


「ちょっと私の部屋に来て」


真雪は急ぎ足で部屋に向かい、私はゆっくりと真雪の後ろを歩く。


真雪ちゃんの部屋に行く気分じゃないのに、何なんだろう?

真雪は私より少し早く部屋に着き、私も部屋に着くと真雪が言った。


「アリスちゃん、ワンピース欲しいんでしょ?良かったら好きなのを着て?」


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