あの子と私
真雪がそう言ってクローゼットを開けると、沢山のワンピースが並んでいた。


凄い……。


これ、ピンクじゃないけど、あの時のワンピースに雰囲気が似てる…。

私は怒っていた事なんて忘れて、一枚のワンピースを手に取った。


緑主体の花柄のワンピース。

凄く可愛い。


「…沢山持ってるんだね」

「うん。だからアリスちゃん、好きなのを持って行っていいよ。明日、ヨシくんもアリスちゃんのワンピース、楽しみにしてるみたいだし」



……いいの?


でも、お父さんにはもう買って貰えそうもないし、仕方ないよね?


私は持っていたワンピースをクローゼットに戻し、他のワンピースも物色する。


沢山あるから、どれがいいのか分からない。


私は真雪に聞く。


「…どれが似合うと思う?」


私がそう言うと、真雪は驚いた顔をした後、みるみる笑顔に変わり、目を輝かせて言った。


「そうね…。これなんてどう?!」


真雪はそう言って、全身鏡の前で、私に淡いピンク色のワンピースを合わせる。


ピンク?


可愛いけど、こんな可愛いワンピース、私に似合ってる……?


「ピンクとか…似合う?」


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