あの子と私
「うん」


真雪ちゃんに化粧をして貰って

見て貰って良かった。

私一人だったら、この可愛いワンピースもただ着るだけになってた。

こんな可愛いワンピースを持ってていいな。

誰からのプレゼントかな?


私は鏡に映る真雪に笑顔で聞く。


「このワンピース、どうしたの?」


すると真雪は少し黙って、柔らかい表情で答えた。


「アリスちゃんのお父さんが用意してくれたみたいなの」

「…えっ?」


お父さんが用意した……?


さっき迄良かった気分が、どんどんと落ちていく。

私はさっき、お父さんに頼んだら駄目だった……。

何で娘の私が買って貰えなくて、真雪ちゃんは買って貰ってるの??

私は…私はお父さんの娘なのに……

絶望とか失望とか嫉妬とか

訳の分からない嫌な感情が私の心を占領していく。


そんな私を見て真雪は申し訳なさそうな顔をして言った。


「ほら、私、裕福じゃないし、お母さん亡くなったでしょ…?だから私が元気になるようにって、買ってくれたんだと思うの」

「……」


そんな事、関係ない。


私は買って貰えなかったんだ。

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