あの子と私
怒りで唇が震える。

時間が経てば経つ程、怒りは収まる処か、大きくなる。


「こんなワンピース要らない!!」


私はワンピースを脱ぎ捨て、勢いよく部屋を飛び出す。

そして自分の部屋に戻ると、トレーナーとジーンズを着て、走って家を飛び出した。

息を切らせて私は走る。

何だか悔しくて泣きそうになった。

私にはこんな服ばかりで、あんな可愛い服を買ってくれた事なんてない……。


万引きしてやる…!


万引きして捕まってもいい


万引きして捕まっても、困るのはお父さんなんだ…!


鼓動が速くなる


興奮して止まらない


止められないんだ


心臓がバクバクするのを全身で感じながら、駅へと辿り着いた。


そして切符を買おうとした時、後ろから声が聞こえる。


「アリス!」


切符を買おうとしている手が震えてる事に気付きながら、私はゆっくりと声がする方を振り返る。


正美さんだ……。


「何やってるんだ?」


正美の優しい声に、私は思わず涙を溢した。


「どうした…?」


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