あの子と私
そう言って見せるワンピースは、ヒョウ柄の凄いワンピースで、私は思わず笑みを溢す。


「後はさぁ、これだろ?」


ゼブラや赤や色とりどりのワンピースだ。


「アリスはさ、この赤が似合うんじゃね?着てみろよ」


正美にそう言われて、服を脱いで赤いワンピースを着ると、胸元が悲しいくらいスカスカした。


「ダメか。いつ要るんだ?」

「明日…です」

「あー?明日か……」


正美はそう言って髪の毛をグシャグシャにすると、一言呟く。


「しょーがねぇな…。ちょっと待てよ」


そして携帯電話を取り出すと、電話を掛けて言った。


「あー、ゆっこ?あのさー、今暇か?……ちょっと手伝ってくんね?……じゃあ、いつもの駅で待ってるわ。じゃあ、後でな」


正美は電話を切ると私に言いう。


「アリス、行くぞ」

「何処にですか…?」

「ワンピース…欲しいんだろ?」


私はコクリと頷く。


「じゃあー、着いて来な」


私は正美に言われるがまま、正美の後を着いて行く。


駅に着き、買った切符を渡されて電車に乗ると、繁華街に近い駅に着き、正美は暫くキョロキョロすると、一人の女に近付き声を掛ける。


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