あの子と私
「今着いた所。……その子は?」


そう言って私を見る女は黒髪で色白で、少しだけふっくらしていて、正美と同じ年くらいの、清純そうな女だ。


「あー、アタシのダチ。アリスっていうんだ」

「へぇ、アリスちゃんか。私は悠子。ゆっこって呼ばれてるの。ヨロシクね」

「宜しく…お願いします」


ドキドキした。

ゆっこにではなく、正美に『ダチ』って言われた事に、ドキドキしていた。


「じゃあ、行くか」

「そうね」

「……?」


何処に行くんだろう?

少し歩くと、ゆっこが私に話し掛けて来た。


「アリスって…真面目そうだね。私もそんな風に言われるけど、こっちの方が都合がいい事って多いわ」

「……」

「正美とは最近仲良くなったの?」

「まだ…二回目です」


私がそう答えると、ゆっこは驚く事もなく、真面目な顔をして言った。


「正美ってさ、凄くいい奴なのよね。私が困ってたら夜中でも飛んで来るし、自分が大事だと思った人間には、とことん尽くすのよ。会った回数は関係なく…ね」

「……」

「結構裏切られて、傷付くことも多いんだけど…バカだから」


ゆっこはそう言って切なそうに笑って見せる。

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