あの子と私
「え…?」


何で駄目なの?

すると正美は真剣な顔をして私に言った。


「万引きも今日だけだ。やっぱりアリスはさーアタシ達とは別世界の人間なんだよ」


別世界って…何……?


「アリスが万引きして捕まったら、親が悲しむし、アリスが頑張ってる事全部、無駄になるだろ」


私は…お父さんなんて困ればいいって思った。


「でも私はまだ、正美さんと一緒に居たい…です」


私がそう言うと、正美は少し寂しそうな顔で笑いながら言った。


「ごめん、アリス。ゆっことは久し振りだから、二人で話したいんだ」

「私は別にだ」


そう言い掛けるゆっこの言葉を遮るように正美は言う。


「今日は帰れよ。又うちに来ればいいからさ」

「…はい」

「じゃあな!アリス」


手を挙げる正美と、ゆっこを見送って駅へと向かう。

『又来い』って言ってくれたから、大丈夫だよね?

正美と、もう会えなくなるんじゃないかって不安を掻き消しながら、家へと向かう。


そして今日万引きしたワンピースの入った手提げ袋を視界に入れると、又別の不安に襲われた。


世界中の人がみんな、私が万引きをした事を知ってるんじゃないかって



早く家に帰らないといけない……。















































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