あの子と私
父親は出て行き、私は父親に渡された紙袋のテープを剥がす。

あの時買ってくれるって言ってくれてたら、万引きなんてしなかったのに……。

お父さんは私にどんなワンピースを選んでくれたんだろう?


ソッと紙袋の中からワンピースを取り出す。


グレーの地味な感じのワンピースだった。

私の頭の中で、真雪の持っていた沢山のワンピースがユラユラ揺れる。


真雪ちゃんにはピンクとか緑とか、花柄とか…可愛らしいワンピースばかりだったのに。



私にはグレーの地味なワンピースなんだ……。


父親に買って貰ったワンピースをハンガーに掛け、クローゼットの中に入れると、万引きしたワンピースが入った鞄を取り出す。


急いでたから、余り良く見てないけど……。


私は鞄の中からワンピースを取り出し、一枚ずつ丁寧にベッドの上に並べた。

白やピンクの、真雪が持っているようなワンピース。

やっぱりこっちの方が、父親に買って貰ったワンピースより可愛い。


ワンピースは全部で六枚あって、私は初めて値札を見る


¥23000


……?!

こんなに高かったんだ……。

値札を1つずつ足していく。


全部で13万……。



又、胸がドキドキした



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