あの子と私
そして二人で家を出た。


「ねぇ、アリスちゃん。この前アキナが言ってたんだけどね……」


真雪の話を上の空で聞きながら、真雪の事を私は考える。

真雪ちゃんは何でいつも笑顔なんだろう……。

私が嫌な顔をしたり、嫌な態度を取っても、いつも顔色一つ変えないんだ。


それだけじゃない。


お母さんにあんなに酷い事をされたり、言われたりしても、悲しそうな顔をするだけで、怒ったり切れたりする事はない。

そして真雪ちゃんから接する時は、いつもニコニコしている。


あんな切れたお母さんと真雪ちゃんを見たら、誰だって真雪ちゃんに同情するに決まってる。

嫌な事をされて、嫌な顔をしても、誰も同情なんてしないけど、悲しそうな顔をすれば同情されるんだ。


だったら計算して動けばいい。


1+1=2


だけど、計算をして動けば


1+1=3


になるんだ。


私は頭がいい。

だから計算だって出来るし、計算すれば真雪ちゃんになんか負けない。


真雪の話に頷きながら、気が付くと駅に着いていて、私は正美の姿を探した。

昨日のお礼を言わなきゃ……。

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