あの子と私
直接的な暴言や言動じゃなく、私を傷つける。


真雪は俯いたまま、何も喋らなくなった。


そして周りの人達は、気の毒そうに真雪を見ている。


母親に意地悪されて、哀れんだ目で真雪を見ていた私みたいに……。


私はハッとした。


これじゃあダメだ。


私がただの悪者になってしまう。


「…ごめんね。言い過ぎたよ。私、ちょっとおかしいのかな」


すると真雪は少し寂しそうな顔をして言った。


「ううん、私こそごめんね…」


周りの人達を見ると呆れた顔で見ていて、私は視線を元に戻す。

こんな光景をヨシとトモに見られてはいけない。


二人黙ったまま歩き電車に乗ると、高校の最寄り駅に着いた時私は笑顔で言った。


「じゃあ行こうか?」

「うん」


真雪ちゃんが天然なのか計算なのかは分からない。

でも、真雪ちゃんの前で感情を見せると負けてしまう。

この子の前では常に計算をしなければ、勝てないだろう。


そんな女と学校でも、家でも一緒に居ないといけないなんて…。


考えるだけで気が遠くなった。


そんな私の気持ちも知らないで、真雪はいつもの真雪に戻っていた。

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