あの子と私
「おはよ」

「おはよー。今日は早いんだね」

「何だよ。俺が毎日遅刻してるみたいじゃん」


学校に着くとすぐヨシと真雪が楽しそうに話す。

真雪に少し遠慮勝ちだったヨシが、真雪に急接近してる気がして胸がモヤモヤする。


「たまに遅刻するでしょ?」

「前に比べたら減ったよ。なっ?トモ」

「そうだな」


真雪が転校してきてから、この二人の遅刻は明らかに減った…。


私に何かあった時以外はよく遅刻していたんだ。

その事に気付かない振りをしていたのに。


「そう言えば今日学校が終わったら何処に行くの?」

「まゆは何処に行きたい?」


まゆ?!


余りの衝撃に私は、二人を見ないように落としていた視線を、一気に上げて二人を見る。

この前迄”福原さん”て呼んでたのに、何で”まゆ”なの?

”福原さん”でも”真雪”でもなく…何で?

ショックで手が震える。


「んー。海がいいな」

「この寒いのに?」

「冬の海は綺麗なんだから!」


真雪はそう言ってほっぺを膨らませる。

そんな真雪をヨシは優しい目で見ていて、又胸が痛んだ。


「ね、アリスちゃん。海行きたいよね」


海には行きたくない。


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