あの子と私
それから数日が経ち、相川とはあの日以来言葉を交わす事もなく、何も無かったかのように過ごしていた。


「ただいま」


学校から帰ると父親の靴がある事に気付く。

お父さん…今日はもう帰ってるの?

部屋に入ろうとした時、リビングの方から大きな声が聞こえて来た。


「どういう事なの?!会社に電話したら出張じゃなくて休暇だって言ってたわ!」

「何で会社になんか電話するんだ……。会社の連中とゴルフに行ってただけだよ」

「じゃあ、そう言えばいいじゃない!!」

「そう言ったら嫌な顔をするだろ?」


私は耳を塞いで部屋に戻ると、机の上で鞄を開けて、逆さまにして乱暴に鞄の中の物を全部出した。


勉強しなきゃ…


勉強しないと


お父さんとお母さんがもっと喧嘩になってしまう


この前出来なかった教科は何だった?

数学……?
英語……?

ううん、違う

私は違うと思った教科書お、机の上からどんどん落としていく。

何だっけ?何だっけ?

三つ編みをほどき、頭をグシャグシャに搔き乱す



そして気付いたら



クローゼットの中の鞄を取り出し、家を飛び出していた。


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