あの子と私
「……」

「私のを貸してあげるから」


真雪はそう言って私の手を引っ張って真雪の部屋まで行くと、白いフード付きのダウンと、黒のお洒落なハイソックスを私に渡した。


「もう時間が無いし、アリスちゃん、急いで」


意味が分からないまま私は着替え、ローファーを履こうとしたら又真雪に止められる。

そしてブーツ迄真雪に借りて急いで駅に向かう。


駅に着くと、私は正美の姿を探した。

早く正美さんにお礼を言いたい。

少し辺りを見回した所で、正美の金髪頭を見付けて、私は思わず正美の元へ掛け寄った。


もし深く付き合うと、一緒にもっと悪い事をしてしまうかもしれない。


本当は正美と深く付き合う事への恐怖もある。


でも正美に早くお礼を言いたい気持ちと、正美に嫌われたくない気持ちが、私の足を動かすんだ。


「正美さん!」

「……」

「…正…美さん…?」


正美は私と目を合わせようとしない。

嫌われた…?

正美の話し掛けて欲しくないようなオーラに、言葉が出て来なくて、動けなくなる。

そんな私を見て正美は、少し小さな声で言った。


「…アリスはさ、やっぱりアタシとは関わらない方がいいよ」

「えっ?」

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