あの子と私
私は作り笑いをしてみるけど、上手く笑えない。

真雪ちゃんに聞きたい。

何でいつも笑っていられるの?

何で負の感情を見せないでいられるの?



分からない。





ヨシとトモとの待ち合わせした駅に着くと、何だか急にドキドキして。


「もう来てるよ!アリスちゃん行こう?」


真雪に手を引っ張られ、二人で小走りでヨシ達の方に行く。

ヨシは可愛いって言ってくれるかな?

万引きしたワンピースに、真雪がコーディネートした格好……。


そして私と真雪はヨシとトモの視界の中に飛び込んだ。


「待った?」

「待った。けどいいや。今のまゆ、可愛いから」


照れ臭そうに言うヨシの言葉に、死にたくなる……。


「ありがとう。ね、アリスちゃんもすっごく可愛くない?」

「うん。可愛いな」

「……」


そんなついでみたいに言われても嬉しくない。

嬉しくないんだ。

万引き迄した私が凄く惨めだ……。


「じゃあ行こうか?」

「うん!何処に行く?」


私とトモが空気みたいになって、トモが私の頭を優しくポンって撫でる様に叩いた。


「…大丈夫か?」

「えっ?」

「辛いよな…」


そして、トモは私以外に聞かれないように小さな声で言った。


「ダメなら言えよ?逃亡するくらいしか思いつかないけど」


トモは私の気持ちに気付いてる…?

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