あの子と私
私はビックリしてトモを見る。

トモは視線を前に向けると、ソッと、でも力強く私の背中を押した。

トモ……?


「おーい、早く来ないと置いてくぞー?」

「あっ、うんっ」


私とトモは急ぎ足で二人の後を追う。


「で、何処に行くの?」


真雪がキラキラした目でヨシに聞く。


「何処に行こうか?」

「えー?まだ決めてなかったの?!」

「嘘だよ。うちに行く」

「ヨシの家?楽しみ!」


今にも手を繋いで歩きそうな二人の空気に、私は又悲しくなった。

トモはそんな私を見て言う。


「逃亡するか?」


私は思いきり首を横に振る。

絶対に嫌だ。

ヨシと真雪を二人きりにするなんて、絶対に嫌なんだ。


二人がどんなに仲良くても

胸が痛くても

この場所を離れたら、二人がくっついてしまう気がした……。


そんな私の気持ちを察したのか、トモが小さな声で言う。


「今日さ…アイツ真雪に言う気でいるから」


……?

言うって何を?


そんな事、聞かなくても分かってる。

ヨシを見てたら分かる。

でも


聞かずにはいられなかった。


「…何を言うの?」

「……好きだって」

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