あの子と私
何を言おうとしてるの……?

少しの時間なのに凄く長く感じ、真雪の言葉を待つ。


「トモくんがね、『だからヨシとは付き合わないでくれ』って。アリスちゃんは凄く弱い子だからって言うのよ。勿論…この事はアリスちゃんにも、ヨシくんにも言わないでって事も言われたわ」

「…だから?」


真雪が何を言いたいのかが分からない…。


「だから言ったの。『安心して。そんなつもりはないから』って」

「…真雪ちゃんはてんヨシを好きじゃないの?」

「好きか嫌いかの二択なら好きよ。…でも、女同士で争うのは好きじゃない。それに…」

「それに…?」

「昔から不自由なく育った訳じゃないから、無理矢理でも手に入れたいとか、執着がないのかもね」


真雪はそう言うと、又いつもの笑顔を作ってドアを開けた。


「入っていいよ」

「ああ」


ヨシとトモは部屋に入り、私に言う。


「アリスはとりあえず横になってやすんでな」

「…うん」


私はヨシの布団に入り込んで横になった。

真雪の言葉に少しホッとしている私がいる。

理由はどうであれ、真雪とヨシが付き合わなければそれでいい。

それがどんなに惨めな理由でも構わない……。

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