あの子と私
私以外の三人は輪になるように座って、楽しそうに話し始めた。

私は三人の方に顔を向けて、その光景を眺める。

ヨシのフカフカの布団と、三人の会話の声が心地良くて、段々眠くなってきたけど、眠らないように頑張った。

私が眠ったら、ヨシが真雪に告白してしまうかもしれない。


「まゆはさ、どんな生活がしたい?」

「どんな生活って?」

「大人になった時」

「んー。犬が飼いたい。小さな一戸建ての家に犬を飼うのが…夢かな」


決して無理じゃない平凡な夢を真雪は楽しそうに語る。


「ずっとアパート暮らしだったし、犬飼って貰えなかったから」

「そっか。それくらいの夢なら俺が叶えてやるよ」


胸がズキンとする。


「バーカ。そういう事は自分が働くようになってから言えよ」

「やっぱり?」


三人の笑い声とトモの突っ込みに少しホッとしたけど、胸の中がザワザワした。

ザワザワして落ち着かない。


ヨシなんて、早く振られてしまえばいい。

ヨシなんて……。


真雪に対する恋心に浮かれているヨシの顔を見ていると、泣きそうになった。


そうだ


ヨシが真雪に告白をすれば振られるんだよね…?


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