あの子と私
そう思った時、心臓がバクバクして身体が少し震えた。

さっき付き合わないって私に言い切った真雪が、私の前でその言葉とは反対の行動を取るとは思えない。

三人の楽しそうな話声を遮って、私は言った。


「少し寝てもいい?」


三人の視線は私に集まって、私の体調が悪くない事を知っているトモ以外は、心配そうな顔をする。


「ごめん。煩かったよな?」

「アリスちゃん…せっかくだけど帰ろうか?」

「いい!少し眠れば平気だし、大丈夫だから」


私は真雪の言葉を必死に拒否した。


ここで帰ってしまったら意味が無い。


ここで…ここでヨシが振られる所を見守らなければ……。

私が居ない所でヨシが真雪に告白をしてしまったら、真雪がヨシとこっそり付き合ってしまうかもしれない。


「じゃあ、アリスちゃんが少し眠って目を覚ましたら帰ろうか?」

「…うん。そうしてくれる?ごめんね。ヨシ」

「気にすんなよ。うちは構わないから」

「ありがとう。少し眠るね…」


私はそう言って三人に背を向けると、ヨシの匂いがする布団に顔を埋めた。

これでトモが席を外せば、ヨシはきっと真雪に告白をする。






真雪に振られる事も知らないで

< 181 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop