あの子と私
モヤモヤしている私とは正反対に、三人は楽しそうに話し続けてる。


「ヨシのお母さんって素敵ね!ケーキだって…こんなに美味しいし、凄く奇麗だし」

「そんな事ないよ。でも良かった。まゆが気に入ってくれて」


モヤモヤが又イライラに変わる。


その時、トモが言った。


「ちょっとトイレ」

「お、うん」


トモが部屋から出て行く音が聞こえると、部屋の中がシンとし、ヨシが言った。


「アリス…?起きてる?」


私は目を強く瞑り、布団をギュッと掴む。


「……」

「寝てる…?」


私は黙ったまま眠った振りをすると、二人の会話に聞き耳を立てた。

聞きたいけど、聞きたくない。


でも


ちゃんとヨシが振られる所を見届けないといけない。

カチカチと時計の音だけ聞こえて、痛いくらいヨシの緊張感が伝わって来て、泣きそうになる。

すると真雪が口を開いた。


「アリスちゃん大丈夫かな?」

「…眠ってるから、目が覚めたら良くなってるんじゃない?」

「…そっか。あ、この前ね」


真雪がそう言い掛けた時、ヨシが大きな声で言った。


「俺、まゆに話があるんだ!」




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