あの子と私

ヨシが言ってしまう。

真雪ちゃんに『好きだ』って言ってしまう……。

さっきまでは早く振られるのを待っていたけど、胸が苦しくて、締め付けられそうになる


「何?」


真雪がそう答え、少し沈黙が続くと、ヨシが言った。


「俺さ…俺……。駅で会った時から、まゆの事好きなんだ。付き合ってくれない?」


ヨシの声が少しだけ震えていて、ヨシの本気が伝わって来て





泣きそうになる……。


早く振ってよ?


ヨシとは付き合わないって


言ってたよね?


布団の中で必死に祈りながら、真雪の返事を待つ。



カチカチ、カチカチ


時計の音だけが響いて、少しイライラする。


悩まなくても答えは出てるのに、何で言わないの?


もしかして……気が変わったとか……?


身体中の血が引いて行くのを感じた時、真雪が言った。


「ごめんね、私……。ヨシとは付き合えない」



やっと……言った。

私は思わず笑みがこぼれた。


「…何で?」

「今は誰かと付き合う事とか考えられないの…。だから…ごめんね」

「……分かった」


私はホッとして、聞こえないように大きく息を吐き出す。



良かった。

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