あの子と私
そしてタイミング良くドアが開く音が聞こえた。


「ヨシ、悪い。ちょっと帰って来いって親から電話」

「あ、うん」

「じゃあ、私もそろそろ帰ろうかな」


私はどうすればいいんだろう?


そう思った時、真雪が言った。


「アリスちゃん!起きて?」


すぐに起きると盗み聞きをしていたのがバレそうで、私はまだ寝た振りをする。


「アリスちゃん…」


真雪が布団の上からポンポン優しく叩き、渡しは目を覚ます振りをした。


「…何?」

「トモが用事が出来たから帰ろうって言ってるんだけど、大丈夫?」


私は眠そうに目を擦りながら起き上がると言う。


「…そうなんだ?ごめんね、寝てて。もう大分良くなったから」

「じゃあさ、タクシー呼ぶからタクシーで帰りなよ。お金は払っておくから。着替えるよね?俺とトモは先に出て待ってるよ」

「ありがとう」


二人が部屋から出ると私は着替える。

その間、真雪は少しボンヤリとしていたけど、私は何も気付かない振りをいて、着替えを済ませて真雪に言った。


「真雪ちゃん、お待たせ。行こうか?」

「あ、うん」


二人で部屋を出て玄関へと向かう。

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