あの子と私
玄関に行くと少し元気のないヨシと、いつもと変わらないトモの姿、そしてケーキの箱を持った、ヨシの母親の姿があった。

真雪はヨシの母親を見ると、満面の笑みを浮かべてヨシの母親に言う。


「ケーキ、とても美味しかったです。ありがとうございました」

「そう言って貰えると嬉しいわ。男の子って美味しいとか言わないから、よく分からなくて」

「本当に美味しかったです。良かったら今度、作り方を教えて下さい」

「ええ、いつでも遊びにいらしてね」

「はい」


私は二人の会話を眺めるしか出来ない。


ボンヤリその光景を見ていると、ヨシの母親が私を見て言う。


「あ、体調は大丈夫?」

「あ…はい」

「これ、食べて下さいね」

「ありがとう…ございます」



ヨシの母親から差し出されたケーキの箱を受け取ると、ヨシが言う。


「タクシー来たよ」


その言葉に真雪は頷くと、満面の笑みを浮かべてヨシの母親に言った。


「色々お気遣い、ありがとうございました。お邪魔しました」

「いえいえ、又いつでも遊びにいらしてね。今度は私も仲間に入れて欲しいわ」

「はい!」


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