あの子と私

真実

冬休みが始まり、家の中で私と真雪は殆ど顔を合わせる事はない。

部屋で勉強をしていると、いつものように母親が来て言った。


「アリス、ちゃんと勉強をしているの?いい?あの子には絶対に負けたらダメよ」


何度も聞いたこの言葉にウンザリする。


「ねぇ、毎日よ?」

「…?」

「毎日一日中この家にあの女の子供が居るのよ?早く出て行かないかしら?気がおかしくなりそうだわっ…!」


母親は叫ぶような声を出し、頭を抱え込む。

真雪ちゃんの事は好きじゃないけど、そんな姿を何度も見せられたら、息が詰まるんだ。

私は母親の言葉を聞かないように、次から次へと問題を解いていく。


「何かあの子を追い出す、いい方法はないかしら…!」


いつまで、こんなのが続くんだろう…?

ウンザリする


ウンザリする……!!


シャーペンを握りしめる手に力が入り、シャーペンの芯が折れた…。

母親はそれを見て私に言った。


「アリス……私に同情してくれてるの……?」


そして今度はすがるような目で私を見て言う。


「そんな風に思ってくれるのはアリスだけよ……。お父さんはあんなだし…私にはもうアリスしかっ……」


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