あの子と私
私は財布を握り締めると、急いで家を出てドラックストアへと向かう。

向かっている間、万引きをするのに本屋へ向かっていた時みたいに、胸の鼓動が速くなった。


これから悪い事をするんだって


あのスリルと快感……。

これは父親の部屋に入る手段で、犯罪じゃない。

けど


心臓がバクバクしてる。

そしてドラックストアの前に立つと、一度大きく深呼吸をして、お店の中に入る。


「いらっしゃいませ」


すぐ目の前に居た店員の声に一瞬ビクッとすると、軽く頭を下げて奥へと入った。


どこに置いてあるんだろう…?

店内をゆっくり物色する。

目薬じゃなくて…胃薬でもない。


頭痛薬じゃなくて……。

あった!


”寝つきの悪い方”


そこには睡眠促進剤が沢山並んでた。

どれが良いのか分からなくて、私は色々手に取ってみる。

950円…。

沢山ある睡眠促進剤の中から、一番安いのを取って又考える。


財布の中には1500円しか入ってない。

これは安いけど効かなかったら意味がない。


散々考えて、1260円の睡眠促進剤を手に取った。


すると又変な気持ちが沸いてくる。

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